2025年4月22日火曜日

久々の山登り 大峰山系 天女の頂 へ(2025年4月・天川村役場からピストン)その2

 

2名の登山者との情報交換の後、しばらくすると林道との出合に出ました。何台もの赤い消防の車両(ライトバンサイズ)が停車しており、御所、吉野、天川などと車の所属が記されているところをみると、これは近隣の消防が総力で遭難者を見つけるための編成を組んでいるのだなと思われました。おのおのの車から降りたと思しき、精強そうな消防署の方々がカラビナやらロープを身に着け、これから始まる捜索に備えておられます。我々は下から登ってきたらからか、何も聞かれることもなく、こちらから尋ねるのも興味本位に過ぎないので、こんにちは・・・と普通の挨拶をし、小さくお気をつけ下さい・・・などと言いつつすれ違います。事態のほどはなんとなく知っているので、何か気づいたら帰りに申し伝えよう。最もそれより前に遭難者の発見されることを望みます。と心の中でつぶやきます。

林道歩きは一分ほどで、すぐに登山道に戻ることが出来、遭難者のことを気にしつつ、自然林と植林帯の交錯する登山道を逍遥しつつ、更に歩くこと一時間程でしょうか、栃尾辻に到着です。

避難小屋と聞いていたので、あれ?この建物がそうなのかな?林業者さんの一服スペース??といった簡素な小屋です。さりとて、急な風雨の際は助かるのでありましょうなあと隊長の言。なるほど。

このあたりから再度ヘリの飛ぶ音が鳴り始め、今までとは逆、稜線の西側から聞こえるようになってきました。なるほど、捜索範囲を広げたのであるなあ・・・見つかってないのだな、しかし、山の反対側も捜索するとなるとこれは大変であるなあ・・・老婆心ながら考えます。


さて、この栃尾辻からしばらくがこの山行で最も景色が良く、自然林の美しい、通称天女の舞と呼ばれる辺りであると調べてあったので、ワクワクしながら歩を進めます。栃尾辻から15分ほどでしょうか、尾根道を遮るように虎ロープが渡されており、右にやや下る巻き道への誘導がなされている地点にたどり着きました。虎ロープの渡し方がなんとも緊張感のない感じで、高さも中途半端なものであったので、行っても良いのかな?アカンのかな?とややも違和感を抱きながらもやや下りの巻き道を選択します。虎ロープからトラバース的に斜面を20分も歩いた頃でしょうか、事前調べによれば栃尾辻から15分もすれば天女の頂に向かう分岐があるとなっていたし、地図の等高線からしても、これほどトラバースをしているのもおかしいなと感じ始め、隊長にどうもおかしいです。栃尾辻から30分ほど歩いているのに、分岐に達しないこと、天女の頂に向かう道中、いわゆる天女の舞と言われるあたりは稜線上で見晴らしが良いはずであるのに、西方面しかひらけてないので、どうも間違っているかもしれませんと伝えると、隊長はふむ、なら戻りましょうと素早く判断。来た道を戻り、やはり虎ロープのところまで戻ったところで、隊長、やはりこの虎ロープから先が天女の舞であると私は思います。さりながら、虎ロープが張られているのは目前の事実。いかがいたしますか?と尋ねると、隊長はそうなのかもしれないけど、やはり虎ロープを越えていくのは良くない。やめとこう。と大変モラルある発言。確かに、虎ロープをわかっていて越えて何かあったら情けないし、大迷惑をかける。ここは天女の舞も頂もあきらめよう。少し騒がしい(ヘリで)ところもあったけど、いい道を楽しく歩けたのだから、良しとしよう。ではここを我々の天女の頂としましょう。とテレビで天国じじい氏が言うようなことを言って、虎ロープの下でお昼としました。

いつものようにお昼はパンを食べるだけの我々は、やや冷えるのでダウンを着たり、フリースを着たりしながら手早く昼休憩を済ませ、来た道を戻ります。来た道であるのに帰りに林業者用の杣道のようなものに入り込んでしまい、隊長のどうもおかしい、引き返そうという好判断もあって小さなタイムロス(30分弱)、体力ロスでルートに復帰することがありました。このように記すと何もなく上手に引き返した様に見えますが、その実は重大インシデントを起こしておりました。

引き返そうと判断したその道すがら、私が自らの判断ミスでルートを間違ってしまった恥ずかしさもあって、なるだけ早く正規のルートに戻ろう、恥を雪ごうと思ってしまいました。早足で正規のルートに戻ろうとするあまり、隊長との距離が開きすぎてしまい、ハッと気がつくと隊長がいません。見えません。やばい!隊長、別の方向に行ってしまったら大変だ!!と超早足で戻ります。そこで、おーい!隊長〜〜!!と呼びかけると10メートルほど上の姿が見えないところから返事が聞こえてくる感じ。斜面を直登し、なんとか隊長を発見。危ないところだった。もしもっと隊長がついてきてないことに気がつくのが遅れ、もっと離れた違う道を隊長が進んでいたら、お互いがお互いを探す内にますます迷ってしまうという、最悪な悪循環に陥り、それこそ遭難していたかもしれない。まさに重大インシデントでありました。私は正直にスミマセン、判断ミスした恥ずかしさもあって、早足で歩き、後ろを見ずに進んでおりました。距離が開きすぎました。危ないところでした。これからは間違って引き返すときもゆっくりにします。それでも何かの折に私とはぐれてしまったら、その場を動かないで下さい。必ず来ますから。と伝え、今後の山登りの注意事項、約束事としました。

危うく別件の遭難を作りそうになったものの標識のある正規ルートにもどり、その後林道出合において待機中と思しき消防の皆さんとすれ違い、目礼し、来た道をゆるゆると下って(案外長かった)、天川村役場まで戻りました。役場においても待機中の消防、警察の方がおられました。お勤めお疲れ様です。

我々はその後お気に入りの 天の川温泉に浸かり、体をほぐした後、無事に゙帰路につきました。

その後、翌々火曜日に遭難者は発見されたそうです。気を失っておられたとの由、そうなると、ヘリが飛んできても気がつかないわけで、必然、捜索隊が足で探し出したのだと思うと、本当に頭が下がります。我々は捜索隊のお世話にならぬよう、なお一層気を引き締めて登山を楽しみたいと思います。

2025年4月21日月曜日

久々の山登り 大峰山系 天女の頂 へ(2025年4月・天川村役場からピストン)その1

 

2月半ばから始まった卒業式、入学式の繁忙に加え、今年はありがたいことに音楽の発表会のお仕事も毎週様々に戴いて、4月の20日まで週末ずっと山に行けずになっておりました。

ようやく空いた4月20日も晴れるような、雨のような怪しい天気の予報でヤキモキしたのですが、前日まで来ると近畿の北部西部、中部はどうも降るかもしれないということが明らかになったので、南部の大峰山系に狙いを定め、どこがいいかな?と調べていると、前から少し気になっていた 天女の舞、天女の頂というポイントが、我が登山隊の隊長(私のお嫁ちゃん)の求める、緩やかかつロング、人の少ない、静かな山歩き(それを隊長は逍遥と言います)が出来るルートなのではなかろうか?と思い、隊長に提案しました。隊長は母公堂からの五代松新道〜法力峠〜稲村ヶ岳のピストンを考えていた様なのですが、近畿で明らかに晴れそうなのが南部のみ、そしてメジャーな稲村ヶ岳ではさぞかし人が多かろうということもあり、初ルートも悪くなかろうということもあって天女の頂を採択しました。(もっとも2ヶ月半ぶりの登山なので、稲村小屋から先の大日岳、頂上はちょっと険しく、よじ登るようなキツイところがあるのでやめとこかという気分もありました。)

(画像は天川村役場から小一時間ほど歩いたひらけた稜線上から見えた稲村ヶ岳と(中央左)と大普賢岳(中央右)どちらも特徴的な(大日岳のピュッとしたトンガリ)と大普賢・中普賢・小普賢のノコギリ状の)山容でわかりやすいですね。どちらも素晴らしい山。)

天川村役場駐車場に車を停めさせてもらって、さて、登山口はどこかな?と周囲を見渡すと、どういうわけか、日曜の朝8時半の村役場にパトカーと消防車両が停まっています。警察官も消防職員もおられます。何かの会合かしらん?と思いつつ、役場隣接のグラウンド外周を歩き、登山口の看板を発見し歩き始めます(しかし役場にグラウンドが隣接してあり、登山口もすぐそこというのは天川村スゴイですね)。隊長と何かあったのかしらね?警察の人とか?などと話します。

よくあるパターンの登りだしは植林帯で杉木立の中をなかなかの急登という道を、いやあ久々の山登りは気持ちいいけどキツイね等と言いながら歩きます。小一時間ほど歩いたらところどころひらけた、眺望の良いところがあって天気も暑くもなく、寒くもなく快適です。


しばらくすると何やら大きな音が空から聞こえてきました。ヘリコプターの飛行音です。ヘリコプターは我々の登る尾根と熊渡〜八経ヶ岳登りのカナビキ尾根の間のあたりをかなりの低空飛行で何かを捜索しているように思われます。(ヘリの乗降口を開け、2〜3人で下を目視していました。)こうなると、ああ、遭難があったのだな。現在捜索中なのだな、それで役場に待機の人員がいたのだなと推測できました。

我々のすぐ上もヘリは通り過ぎ、もちろん手を降ったりしたらややこしいので何もしませんでしたが、こんなにも間近に樹の頭に触れそうなほど近くを飛ぶのだなあと感心しつつ見ておりました。場合によっては我々のいた標高よりも低い谷あいの場所も飛ぶので画像のようにヘリを下に見るという経験もしました。


植林の急登を終えると自然林のおだやかな稜線に出ました。長らく飛んでいたヘリも去り、静かな逍遥です。

スタートから1時間半ほどだったでしょうか、この登山初めての登行者との挨拶です。そうすると、その男性が

”昨日、頂仙岳で一緒だった二人組の一人が遭難したということみたいです。この上の林道の出合に警察がいて、尋ねられ、どこそこまでは一緒だった、元気で楽しそうだったと伝えたのですよ。あんなに元気そうで楽しそうだった人が遭難なんて、ショックで・・・”と仰られました。そうなのか・・・

さらにしばらく歩くと今度は中年の男性が

”遭難のことは知ってますか?私は狼平の避難小屋で一緒だったんですよ。元気なおじいさん二人組みだったんだけど、一人は発見され、一人は捜索中みたいですよ。このピストンのルートでそんな危ないような迷うような所は無いのに。まちがって双門の方に行ったんじゃないだろうか?”と仰りました。私もそう推測し、先程からこの尾根とカナビキの尾根の間の谷をヘリが箱乗りみたいに下を目視しつつ飛んでおりましたよ。と伝えます。お互い気をつけましょうね、我々は天女の頂まで行くつもりですと伝えます。このようにすれ違う人や挨拶をした人、軽く話をした人の様子を憶えておくことは大事だな・・・と再認識します。

もしかしたら助けを求める声がするのかもしれない、何かの跡を発見するかもしれないなと思いつつ、ここで怪我でもしたら救助の手が回らないだろうねなどと隊長と話して、気を引き締めます。(つづく)

生け花画像頂戴しました

今週の生け花作品画像頂きました!ありがとうございます。

 お客様から今週お届けした花材での作品画像を頂戴しました。 フェイジョア、秋色ヒマワリ(サンリッチライチ)、青ドラセナ フェイジョアが伸びやかで素敵 中輪八重のトルコ桔梗(しずく)を加えて、ライティングも変えて撮影してくださいました。秋の気配がいい感じですね。 作品画像ありがとう...