一の越山荘で個室の幸運に恵まれた私達でしたが、二人ともあんまりしっかりと眠ることは出来ずじまい。なれぬ布団と枕では致し方ないと思いながら出発の身支度をし、朝食を待ちます。窓の外には富山の街を包む雲海と、雲海の上に広がる立山のカール地形が広がります。みくりが池もきれいに見えます。時間となり、朝食もしっかりと頂き、本日の6時間ほどの歩行に備えます。
まずは雄山への登りです。ようやく登山らしくなってきました。さりながらこのあたりまでは登拝のひとも多いからなのか、たいへん登りやすく、あっという間に頂上です。お祓い、祈祷を受けられるということなので、申し込んでしばし待ちます。日本三霊山最後となった立山。感慨もひとしおです。今回は日程の関係で山中には二泊しか出来ないということと、行き帰りも混雑しにくそうなところということで遠征先を立山に選定したのですが、私の中で決定的要因だったのがこの三霊山完登ということでした。隊長はあんまりそういうコレクティングは興味がないようで、三霊山完登やで!と言ってもふーんそうなの?というリアクションでしたが、ご祈祷の際、富士、白山、そして立山の日本三霊山と説明を受けた時は、ほお~と言っていました。さすが神主様、言葉の重さが違うようです。わたしはこれで日本七霊山も残すところあと石鎚山だけだな!と思ったのですが、どういうわけか隊長は石鎚山に行きたがらないので、いつのことになるか分からないな・・・と考えます。そして、神主様のお話は続き、本日は晴天でありますが、この先10時ころから雨が降るという天気予報的なお話を受けた途端、なに!それならもう先を急がなくっちゃ!ありがたいお話も早めに切り上げて下さい!!と言う落ち着かない気分になりました。そしてご祈祷を受けただいたい10人ほどのみなさんで万歳三唱をもって登拝は完了し、先を急ぎます。
続いては大汝山。この山が立山のなかで最も高いらしく(3015m)、外国の登山者が随分とたくさんのんびりしておられました。赤と白の振り分け(縦)の国旗をあしらったものが見えたので、インドネシアの人かな?と思います。そうなると宗教上、神道の斎庭に入り、祈祷を受け・・・というのは難しいと言うか、したくないのかもしれませんね。大汝山が一番高いのだから、そこで記念撮影。理にかなっております。大汝山の休憩所はアジアンな雰囲気(ネパールとかの)で独特な空間でした。きっとここを目指して来られる外国の方も多いのでしょう。私達も山バッジを買いました。
そしてなだらかな砂礫の上の稜線をしばし歩いて、真砂岳です。このあたりからはすれ違う人もだいぶんと減り(特に外国の方は激減)、深い山を歩いているなと言う気分が高まってきます。内蔵助山荘に向かっても良いものの、10時から雨と言われたら、わずかな寄り道もしかねます。先を急ぎつつ、少しガスが上がってきたな、御神託、まちがいないかもな・・・と思いつつ別山への道を進みます。
ハイマツと砂礫とこぶし大の石のないまぜとなった道を歩くことしばらく、別山頂上までもう少しのところで嬉しい出来事が。砂礫の上に雷鳥の親子が。ぴょんぴょんと跳ねながら、5〜6羽で群れています。親鳥と思しきは鳩を少し大きくしたくらいで、尾羽根に僅かな白い羽を残しています(なおかつ時折その白い羽を落としつつ)。ひな鳥と思しきは生まれついての夏仕様、サイズも色味もうずらのようです。かわいいね〜こんなに近くに来ても平気なんだね〜と言いながら、雷鳥と一緒に別山を登る感じでしばらく過ごすことが出来ました。親鳥が登山道の真ん中で休憩したのには驚きましたが、おっちゃん通るで〜どいてや〜と言ったらどいてくれました。
別山の頂上には祠があるばかりで、よくある山名札もなく、これ、別山だったんだよね、と隊長と訝しみつつ写真も撮らずに先に進みます。そこから剱御前小舎を目指す道中は急斜面の下りで、すれ違うみなさんが息を切らし、いかにもつらそうでした。ちょうどガスの底(下から見たら雲でしょうね)が別山頂上わずか下というところだったのでしょう、つらさと暑さで皆さんへばっておられました。そうか、ということは先程は雲の中で雷鳥を見ることが出来たということか、雷を呼ぶから雷鳥、それで雲の中にいたわけねと納得します。すれちがう皆さんに、頑張って!別山のあたりに雷鳥が親子でいますよ!!と励まそうかと思いましたが、いなかったらウソなのでやめておきました。慎重に下ることしばらく、剱御前小舎に到着です。11時近くになっていましたし、空腹も感じたのでここで昼飯にしてはどうかと思いましたが、隊長の、腹は減ったが、食べている間に天候が崩れるのは好ましくない。ここは我慢で先に進もう。剣山荘でチェックインの後ゆっくりと昼食としようと言う判断で写真もそこそこに先に進みます。ガスのせいで劔岳もはっきりとは見えませんが、山腹の岩岩とした様子は今までの立山とは気配が違います。明らかに初心者を突き放すような厳しさを感じさせます。
我々は先を急ぐべく、剱御前岳の中腹を巻いて剣山荘に向かう道をチョイスし、別山直下からより斜度のキツイルートで剱沢小屋を目指すルートを右上に見つつ、剱御前小舎から剱沢に降りるルートを右下に見つつ、巻き道ながらもゴロゴロした岩の多い歩きにくい道を進みました。隊長は少し苦手な感じの道だったようですが、私は何となく、静かで歩きごたえのある道だなと気に入りました。大きな雪渓を横切るところもあり、風景的にもスペクタクル感があるな〜と楽しめました。ただ、既に5時間ほど歩いていたので、しんどさはありました。やがてハイマツの中の小道を抜けたあたりで剣山荘が見えました。隊長を待ちながら立っていると、すれ違う人にあともう少しだと励まされます。ハイ、小屋が見えました。頑張れます!さりながら、どういうわけか、山小屋は見えてからが遠いですよね〜〜と返事をしたら、ハハハ!全くですね、山のワナですね!と言っておられました。皆さんそうなんですね。隊長は見えてからが遠すぎんねん!と軽くキレておられましたが、少し行動食を食べて元気を取り戻したようで、神主様のお話からやや遅れること2時間、小雨が降り出したころに剣山荘に到着しました。(というか、そのころ雄山では既に降っていたのかもしれませんね。)
剣山荘は水の豊富な山小屋のようで、入口の近くにステンレスの流し台があり、そこには水がかけ流されておりました。小屋にはシャワーもあり、飲水も無料で貰えます。入口の靴棚が4畳ほどの広さなのですが、ストーブが置かれ、乾燥室も兼ねているようです。雨に打たれて冷えて小屋にたどり着いたなら、ストーブのあるところで靴を脱ぎ、道具を干しているさなかも温まることが出来るであろうから、非常に理にかなった仕組だなと感心しました。そして小屋のスタッフから部屋の案内、道具の置き場所、シャワーの時間、食事の時間など説明を受け、荷物を部屋の前の棚に置き、蚕棚の自分たちのスペースを確認の後ようやく昼食となりました。私は牛丼、隊長は中華丼でした。夕食は4時40分とのことで、昼食からあっという間に夕食となるねえと隊長と笑い合いながら食べ終えたころには雨が本降りとなりました。危ないところでした。シャワーは5時までということで、まずはシャワーだと夫婦で並びます(もちろん男女別)。二人ともそう待つこと無くシャワーが使えましたが、隊長が先行した間、私は貴重品を預かって2,3人に先に入ってもらいました。貴重品を入れるロッカーはなく、かごに衣類を入れるスタイルなので、ご注意下さい。
シャワーの後しばらく休憩していたら雨もやんで、小屋の入口辺りに出て夕景を楽しむことが出来ました。夜晴れたら良いね、星が見れるかもねと期待の隊長。シャワーの後に爽やかな涼しさ(少し寒いくらい)の気温の中で飲もうかな?寒いかな?御飯のあとが良いかな?とのんびり考えます。その横では雨に打たれたと見える登山者が続々と小屋にやってきます。皆さん大変だったご様子。隊長の昼食場所の判断は最適であっとなと感心します。
そうこうしていると夕食です。夕食は山小屋らしいメニューなるも、ボリュームしっかりの大変満足な内容でありました。山の後は普段の倍以上食べられるし、食べたいよね〜と思います。宿泊者が多いようで、夕食を取りながらの飲酒は今日はダメとのことで、入れ替え制がしっかりしています。蚕棚にあがる垂直なハシゴを登るのもしんどいと感じた我々は、小屋の(解放された)スマホ充電を利用させてもらいつつ、ベンチに腰掛け、休憩しました。早いもの勝ちかつ、小屋のコードか持ち込みの個人のコードかわかりにくいのでご注意。夕食の回転が終わり、解放された食堂に移った我々は少しビールを飲んで、また降り出した雨を残念に思いつつ、消灯までの時間をのんびりすごしました。そして蚕棚に戻り、いびきの三重奏に悩まされつつも、カーテンもあるし、しきりのビニール幕もあるし、上等だねと思いつつ、寝ることとしました。
やがて寝られたような、横になっていただけのような時間がすぎ、午前2時頃、早出の人たちが動き出します。もうそうなると音もするしライトもつけられるしで寝ている感じではなくなります。ならば外に出てみよう、星が出ているかもと隊長を起こして一緒に見に行きます。ダウンジャケットに厚手の靴下を履いて外に出ます。幸い雨もなく、美しい星空を見ることが出来ました。隊長の星空アプリであれが何座だ、天の川だと楽しんで、さらには既に劔岳に登りだした人たちのヘッドライトの輝きを眺めつつ、しばらくの時を過ごしました。やがて寒くなってはダメだと蚕棚にもどり、体を横たえたのでした。
その③につづく



















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