2月半ばから始まった卒業式、入学式の繁忙に加え、今年はありがたいことに音楽の発表会のお仕事も毎週様々に戴いて、4月の20日まで週末ずっと山に行けずになっておりました。
ようやく空いた4月20日も晴れるような、雨のような怪しい天気の予報でヤキモキしたのですが、前日まで来ると近畿の北部西部、中部はどうも降るかもしれないということが明らかになったので、南部の大峰山系に狙いを定め、どこがいいかな?と調べていると、前から少し気になっていた 天女の舞、天女の頂というポイントが、我が登山隊の隊長(私のお嫁ちゃん)の求める、緩やかかつロング、人の少ない、静かな山歩き(それを隊長は逍遥と言います)が出来るルートなのではなかろうか?と思い、隊長に提案しました。隊長は母公堂からの五代松新道〜法力峠〜稲村ヶ岳のピストンを考えていた様なのですが、近畿で明らかに晴れそうなのが南部のみ、そしてメジャーな稲村ヶ岳ではさぞかし人が多かろうということもあり、初ルートも悪くなかろうということもあって天女の頂を採択しました。(もっとも2ヶ月半ぶりの登山なので、稲村小屋から先の大日岳、頂上はちょっと険しく、よじ登るようなキツイところがあるのでやめとこかという気分もありました。)
(画像は天川村役場から小一時間ほど歩いたひらけた稜線上から見えた稲村ヶ岳と(中央左)と大普賢岳(中央右)どちらも特徴的な(大日岳のピュッとしたトンガリ)と大普賢・中普賢・小普賢のノコギリ状の)山容でわかりやすいですね。どちらも素晴らしい山。)
天川村役場駐車場に車を停めさせてもらって、さて、登山口はどこかな?と周囲を見渡すと、どういうわけか、日曜の朝8時半の村役場にパトカーと消防車両が停まっています。警察官も消防職員もおられます。何かの会合かしらん?と思いつつ、役場隣接のグラウンド外周を歩き、登山口の看板を発見し歩き始めます(しかし役場にグラウンドが隣接してあり、登山口もすぐそこというのは天川村スゴイですね)。隊長と何かあったのかしらね?警察の人とか?などと話します。
よくあるパターンの登りだしは植林帯で杉木立の中をなかなかの急登という道を、いやあ久々の山登りは気持ちいいけどキツイね等と言いながら歩きます。小一時間ほど歩いたらところどころひらけた、眺望の良いところがあって天気も暑くもなく、寒くもなく快適です。
しばらくすると何やら大きな音が空から聞こえてきました。ヘリコプターの飛行音です。ヘリコプターは我々の登る尾根と熊渡〜八経ヶ岳登りのカナビキ尾根の間のあたりをかなりの低空飛行で何かを捜索しているように思われます。(ヘリの乗降口を開け、2〜3人で下を目視していました。)こうなると、ああ、遭難があったのだな。現在捜索中なのだな、それで役場に待機の人員がいたのだなと推測できました。
我々のすぐ上もヘリは通り過ぎ、もちろん手を降ったりしたらややこしいので何もしませんでしたが、こんなにも間近に樹の頭に触れそうなほど近くを飛ぶのだなあと感心しつつ見ておりました。場合によっては我々のいた標高よりも低い谷あいの場所も飛ぶので画像のようにヘリを下に見るという経験もしました。
植林の急登を終えると自然林のおだやかな稜線に出ました。長らく飛んでいたヘリも去り、静かな逍遥です。
スタートから1時間半ほどだったでしょうか、この登山初めての登行者との挨拶です。そうすると、その男性が
”昨日、頂仙岳で一緒だった二人組の一人が遭難したということみたいです。この上の林道の出合に警察がいて、尋ねられ、どこそこまでは一緒だった、元気で楽しそうだったと伝えたのですよ。あんなに元気そうで楽しそうだった人が遭難なんて、ショックで・・・”と仰られました。そうなのか・・・
さらにしばらく歩くと今度は中年の男性が
”遭難のことは知ってますか?私は狼平の避難小屋で一緒だったんですよ。元気なおじいさん二人組みだったんだけど、一人は発見され、一人は捜索中みたいですよ。このピストンのルートでそんな危ないような迷うような所は無いのに。まちがって双門の方に行ったんじゃないだろうか?”と仰りました。私もそう推測し、先程からこの尾根とカナビキの尾根の間の谷をヘリが箱乗りみたいに下を目視しつつ飛んでおりましたよ。と伝えます。お互い気をつけましょうね、我々は天女の頂まで行くつもりですと伝えます。このようにすれ違う人や挨拶をした人、軽く話をした人の様子を憶えておくことは大事だな・・・と再認識します。
もしかしたら助けを求める声がするのかもしれない、何かの跡を発見するかもしれないなと思いつつ、ここで怪我でもしたら救助の手が回らないだろうねなどと隊長と話して、気を引き締めます。(つづく)
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