仕事と雨降りの関係で10月は山登りができず、鬱屈が溜まっていたので、どこか爽やかな、景色の良い山に行きたいよねと、我が登山隊の隊長(マイワイフ)と話していておりました。幸いに仕事のない日曜日、好天に恵まれそうということで、関西屈指の眺望を誇る、比良山系最高峰の武奈ヶ岳に行こう!西南稜を歩こうとなりました。意見のすり合わせもなく、夫婦で同じことを思っていたわけです。真夏以外はいつ行ってもすばらしい武奈ヶ岳。山登りを始めて15年ですが、おそらく毎年一回は登っているんじゃないかな?というおなじみの山です。兵庫県の家から名神高速、湖西道路を使って1時間半ほどで到着できる点も好ましく、正にフェイバリットお山です。
駐車は葛川市民センター駐車場を利用させていただきました。道路と川を挟んで向こう側に立派なトイレもあります。前を通るたびにいつか泊まってみたいものだねえと話し合う、比良山荘を通り過ぎ、明王院の紅葉を見ながら、赤い欄干の橋を渡った先が登山口です。気温はなんと1度。思いもよらぬ寒さに戸惑いながらも、まあ歩き出したらすぐに暑くなるだろうと、裏起毛ピタピタロングTシャツとフリースハイネックシャツ一枚で登りだします。
というのも、この登山口からすぐに植林帯をジグザグに登っていく斜度の高い登山道が続くのを知っているからです。最初に登ったときはいきなりキツイなあ〜と思ったものでしたが、もう慣れたもんで、しんどいのわかってますよ、薄着で歩き出すのが良いのもわかっておりますよ!という気分です。歩くのが遅い我々は何組ものパーティーに抜かれていきますが、多くのパーティーが長い急登が堪えて休憩したり、暑くなりすぎて服を調整するために停滞しているのを尻目に休まずゆっくり歩き続けます。経験が物を言うのだぜ!という気分です。
杉の植林帯を過ぎ、自然林になったあたりで積雪期ルートと無雪期ルートに別れます。初冠雪はあったようですが、さすがにこのあたりは雪も見られないので、当然無雪期ルートを選択します。しばしトラバース的に歩いた後に、我が隊長が武奈ヶ岳の最も好きだと言うポイント(U字谷と呼んでる)にさしかかります。深い切れ込んだ谷という感じではなく、なだらかな広くて浅い谷という感じの場所で、緩やかに登り続けることが出来る場所です。ここまで来ると紅葉は終わっており、冬枯れの木々の間に澄み渡った青空が見られて、とてもすがすがしい気分になります。落ち葉を踏みしめながらなんと歩きよく、良い山だろうとしみじみ思います。
(西南稜から京都北山方面を望む)U字谷のどん突きあたりで右に折れ、御殿山の稜線に上がるべく、道は巻きながら高度を上げていきます。粘土質の上にたっぷりと落ち葉が敷きつめられ、すべらない道理が無いような道なので、慎重に登っていきます。まあ帰りは多少滑るだろうねと思いつつ歩きます。武奈ヶ岳(坊村ルート)の唯一の難儀な場所かもしれません。
御殿山の稜線に出ると道は粘土質ではなくなり、歩きやすくなります。このあたりは雪が多いのか、二度三度と折れ曲がりつつも天に向かって幹を伸ばす木が見られたり、大きく湾曲しながらも諦めずに幹を立て直そうとする木が数多見られます。紆余曲折とはこの事だ。見習わなければ。と思います。そんなことを思っているうちに御殿山の頂上です。御殿山からは武奈ヶ岳の頂上も見え、これから歩く、関西で一番美しい稜線道(と私が思っている)武奈ヶ岳西南稜が見渡せます。ハイシーズンの武奈ヶ岳、御殿山の頂上にも人が多く、写真を撮るのもどうしたって人が入るなあと諦め、小休憩とも言えないほどの一息だけついて先に向かいます。ワサビ峠に向かう道は今回屈指の斜度ではありますが、滑る石も引っかかる木の根もさほどもないので、ゆっくり歩けば問題なしです。あっという間にワサビ峠です。峠からしばらくはそう高くない木々の間を歩きますが、その後は木が無くなり、少し岩ガレた登坂です。人が多くて抜きつ抜かれつしながら、やっぱり今日は人が多いなあ、まあその方がクマも出なくてエエやろと考えたところもあるしなあ、みんなそう思ったから人多いのかなあなどと考えます。隊長は人が多いのは好かないので少しご不満であったようですが、クマが出るよりエエやろ!と諭します。
(西南稜から琵琶湖側を望む)岩ガレの登坂を終えて緩やかで広々とした稜線道に出ます。これこそが武奈ヶ岳西南稜。東を見れば琵琶湖と鈴鹿の山々。西を見れば京都北山の深い山並み。自分は今、天を飛ぶかと思うほどの景色。何度訪れても胸打つ景色です。ああ最高だな。これで頂上から白山が見れたらもっと最高だなと思いつつ歩きます。
(武奈ヶ岳頂上から白山を望む隊長)
やがて広々とした頂上に到着します。晩秋の済んだ空気は我々に白く輝く白山を見せてくれました。何度登ったかしれない武奈ヶ岳ですが、白山が望めたのは2回目。初めては残雪の3月末でした。輝く白山を目の当たりにして、これは白山からのご招待に゙違いないと確信し、その夏、白山に登ったものでした。久々の雪の白山を見た隊長は、これはまた白山に行かねばならんな〜と仰っておりました。
(雪を頂いた白山)
いつもより混雑した頂上ではありましたが、白山を眺め、御嶽、乗鞍も遠望しつつ昼食を摂る事が出来、大満足でした。
いつものようにパンを食べ、ミルクコーヒーで温まったら体が冷えないうちに下山です。あまりの絶景に名残惜しくはありましたが、体の冷えは怪我のもと。怪我なく無事に帰宅するまでが登山です。それに武奈ヶ岳はこれからも何度も訪れるでしょう。やはり素晴らしい山だなあと再確認して、来た道をピストンして坊村に戻りました。
(名残惜しく冬枯れの木々を眺める隊長)









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