2024年9月11日水曜日

毎年恒例・お盆明けの遠征登山!今年はついに富士山のぼりました。その④

 半蔵坊を立ってしばらくすると雲?靄?が上がってきました。いよいよ雲より高いところに来たのかなと気持ちが高ぶってきます。しかし、大石茶屋のあった場所が五合目で、三時間ほど歩いた半蔵坊のあった場所が六合目って、いったいどれほどの長い道のりなのかと恐ろしい気もします。さらに歩き続けると、あれほど歩きにくかった半滑りの道も随分と解消され、一歩一歩がロスなく進んでいけるように感じました。

やがて標高3000メートルの看板が。ひさびさの3000メートル越えにうれしくなってきます。このあたりからいかにも溶岩といった石が増えてきます。休憩用のベンチとかは一切ありません。(その分座りたかったらどこでも座れます。道が広いです。お尻痛いでしょうが。)体も調子よく感じられ、さらに歩き続けます。このあたりで茶屋のご主人がくれた板チョコをかじってみました。カルピスがあれほどに旨かったのだから、板チョコも感動するに違いない!と意気込んで食べてみましたが、板チョコは普段通りのおいしさ+α ぐらいで、隊長にも普段よりちょっとおいしいくらいですと報告。よく考えたら冬の山では結構チョコたべるもんね。慣れてるわ。と一人納得。しかし、暑さでドロドロになったりしないのがさすがは富士山です。



さらに頑張り続けること一時間くらいでしょうか、わらじ館に到着。予定の休憩ポイントです。補給しようとお店の看板を見ると、なんとスイカが食べられるではありませんか。これは食べずにはおられません。かつて、燕岳をめざす合戦尾根の合戦小屋で食べたスイカのおいしさを憶えていたからです。山で食べるスイカのおいしさは普段の5倍くらいに感じるものです。さらに塩をかけたらさらに倍!都合10倍!実際旨かった!
 スイカを食べて元気を回復した我々はもう目前に感じられる、本日の宿、赤岩八合館を目指します。途中、砂走館を通過して、ここから下りの大砂走がはじまるのね、と確認します。しかし、そんな一歩が倍になるように滑り降りられる道なんて、我々大丈夫なのかしら?こけたりしないかしら?と心配になります。その頃すでに歩き出して7時間となり(足の速い人なら5時間くらいのはず)、普段の山登りならもう大抵登山口まで戻ってる時間だなあ、さすがは日本一の富士山、道のり長いなあ。などと思いつつ、もう少しで今日の歩きは終了だ、お宿でのんびりだと思っておりました。(ビール飲んだるねん!)


ついに赤岩八合館に到着です。もちろん予約してありましたので、まずは小屋の人に到着の旨を告げ、いわゆるチェックインです。12時半くらいだったでしょうか。宿帳に名前を書いたりしていると、初めての3000メートル越えの山小屋泊まり(というか、人生初の山小屋泊まり)の大天井岳、大天井ヒュッテでの宿帳を書いた思い出がよみがえりました。あの時は疲れで手が震えたなあ。頭も少し痛かった。今思えば軽い高山病だったのかも。前日の車中泊が良くなかったのかな。などと思い出します。今回は手も震えず、頭も痛くない。山慣れしたのか、体力ついたのか。やるじゃないか、俺! そして、小屋の人の案内で、小屋の一番奥、カイコ棚の下の段に我々のスペースを得ました。チェックイン一番乗りだったのかな?大石茶屋を朝早くに通り過ぎた人々は日帰りなんだろか?それとも山頂に行ってからチェックインの予定なのかしら?などと考えました。
 そして、予定の昼食を摂ることになりました。カレーは昨日食べたし、おそらくここでも晩飯はカレーであろうから、昼はラーメンにしようと隊長と相談し、二人ともラーメンをチョイス。インスタントでしたが、ここは3200メートルを越えた高所。文句はございません。おいしゅうございました。
ラーメンを食べながら、ここがかのプリンスもお泊りあそばした山小屋かあ。(思っていたより普通だなあ)さぞかし豪壮な建物に違いないと思っていたけど、富士山の厳しさ、小屋を建てられるような場所の少なさ、土地の狭さを思えばこの感じもなるほどだなあ。と思っておりました。まあ、屋根のある所で寝られて、あったかいご飯が食べられるんだから、山小屋って最高だよな。ビール飲んじゃおうかな?と思っていた矢先、隊長から衝撃の一言が発せられたのです。

”明日は天気が崩れるかもしれないらしい。まだ1時前だし、
ここから往復3時間の山頂に今日行ってしまおう。”

マジか・・・?確かにまだ歩けそうな気もしなくもない。栄養補給(初めて飲んだアミノバイタルも効いてるのか、足も疲れてない感じ)もばっちり上手く行ったし、体調も悪くはない(さっき、やるな俺!とか思ってた)。そやけど、もう7時間半くらい歩いたで?さらに3時間って本気?
もう私、ビールの口なんですけど・・・
しかし、隊長の目は本気です。確かにここまで雨にも遭わず、ラッキー続きだ。今日はラッキーデーだ。大石茶屋のご主人も ””君たちはいけるから””って言っていた。マジで。こうなると返事はイエスしかない。隊長が言うのだから。
 こうなりゃ仕方がない。ビールは晩飯の楽しみにして、山頂を目指そう。とりあえず、重たい携帯の充電器(よりによって二つ)は置いて行こう。明日用の着替えも置いて行こう。寒いかもしれないし、雨が降るかもしれないからカッパは入り用だな。ダウンベストもいるかもな。心の支えのカルピスは持っていこう。そして、今日の日、ここからの道のりのために購入したヘルメットもデビューさせよう。サブザックにしてもいいけど、長年苦楽を共にしたザックを置いて行くのはなんだか忍びなく、重たいけれどザックを担ぐことを選択。隊長は超簡素なサブバックに必要なものをつめて用意した様子。宿の人に天気がいいからてっぺんまで行ってきます。と伝えます。

 歩きにくかった黒い軽石のような道ではなく、小屋から先はいわゆる岩だらけの道でした。幅も狭く勾配も急で、すれ違う登りの人、足の速い下から我々を追い抜く人、どちらも道を譲り譲られです。空気も薄く感じられます。息苦しいとまではいかないけれど、なんだか胸苦しいような。深い呼吸を心掛け、呼吸が荒くならないように慎重に歩きます。風も無かったし、それほど心配は要らなかったかもしれなかったけれど、せっかく持ってきたんだし、ヘルメットを着用します。同じ道を歩む人たち皆、一様にしんどそうです。下りてくる人の中には頑張って!と声をかけてくれる人も。山のしんどい所で不思議と起こる登山者の一体感。まして、日本一高い山の一番一長くてしんどいルートを選んだ、ある意味酔狂な人々が、同類の人への親しみを込めたエール。グッとくるものがあります。
 それでも肉体はしんどい、しんどい、さすがにキツい。隊長も覚悟の上とは思えども、キツさに顔をゆがめています。隊長の弱点、道の譲られが発生しているので仕方がありません。道の譲られを避け、自分のペースを守るために選んだ御殿場ルートではありましたが、さすがに全てがそうではありませんでした。しかし、吉田ルートなんかは人のお尻を見続けて登ると聞いたし、大渋滞起こるとも聞いた。ルートの選択は間違っていないと自らを励まし、こけないように、石を落とさぬように、息を乱さぬように一歩一歩。ついに御殿場口頂上か!と勘違いする場所を幾度か過ぎ、ついに御殿場口ルート山頂に到着。鳥居を越え、山頂奥宮で恒例の手ぬぐいの購入。御朱印に押すと思しき茶色のハンコも押してもらい、大満足です。そしてお鉢巡りの開始です。

 富士山の火口は思っていたよりずっと鋭角にえぐれていて、ほぼ崖。今にも噴火しそうな恐ろし気な佇まいでした。若干の高所恐怖症気味の私は火口に近づくのは恐ろしく、写真も中途半端なものしか撮影できませんでした。(普段の山では崖でも高所恐怖症的な怖さを感じたことが無かったので、不思議な気分でした。)火口の方はなるべく見ないようにしながら歩きつつ、なぜか山頂は黄色い土の道なのねとか思いつつ、歩きます。そして気象観測所の建物の直下、黄色い土の滑る急坂を必死で杭にすがりつつよじ登ります。杭は助かるけど、杭の打たれた道の端は向こう側が崖。これも怖い。すごい怖い。さすがの隊長もこわいよー滑るよーと泣き言。しかしこっちも余裕なく、頑張れ~というのがやっと。しかし、ついにその時はやってきたのでした。

気象観測所の脇に日本最高峰の石碑が。石碑の向こうは火口の崖。怖いのでちょっと離れて、立つと崖が見えるのでしゃがみ込んでの記念撮影。朝は記念撮影行列が出来るとも聞いたので、隊長の判断はここでも正解。並ばずに撮影。ここまで9時間ほどの長旅ではありましたが、ついに剣ヶ峰までやって来れました。歓喜のカルピスウォーターを飲み干します。長旅ではありますが、やはりいつものように山頂で長居はせずにあっさり下りだします。

下りだして、しばらくした頃でしょうか、なんとなく頭が重いような感覚がしだしました。ひょっとすると、高山病なのかな?だとしたら下りてるんだし、よくなる一方だわ。心配ない。少し頭が痛いような重いような気がするだけ。疲れが出たのだわ。昨日は車もロングドライブであったし、夜も同部屋のおっさんのいびきでよく寝られなかったし。ありゃいびきというより無呼吸症候群だったわ。時々いびきが止まるから、ああやっと止まったわと思って15秒もしたら、ブハッ とやるもんだから、こっちはドキッとするし、寝てられなかったわ!ホンマに災難やったで!と考えながら気を紛らせます。下りる道すがら、登りの人に頑張って~もう少しですよ~と言いながら、実は自分を励ましていました。隊長は滑らない下りの道は苦手では無いので大丈夫そうです。さすが。時折しんどくない?大丈夫?と聞きますが、うん大丈夫と返事してきます。
 そうして小一時間歩くこと、もう小屋が間近になった頃、頭の痛さは紛らせ様がなくなって来ていました。しかし小屋はもうすぐ。たどり着いたら休憩しよう。小屋の端っこのスペースが得られたのは良かったな。横になって晩御飯までじっとしていよう。でも寝たらダメだ。寝ると呼吸が浅くなって、高山病なら悪化するらしいから。でも高山病では無いでしょう?だって下りてきてもより頭痛いんだから。なら寝た方が回復するんでない?などと取り留めもなく、うつろな頭で考えました。
 4時少し過ぎたくらいに何とか小屋にたどりつき、上がりがまちに腰掛けて、靴紐をほどこうとしたとき、そのまま頭からつんのめりそうになりました。グーンと頭が重い。視野狭窄まではいかぬけれど、少し目もぼんやりするようだ。ああ、これは大変だ。普通ではないな。晩御飯まで寝ないで横になって、深呼吸を繰り返そう。決意し、隊長に伝えました。”ちょっと晩御飯まで横になるわ。頭痛いねん。しんどいし。情けないけど、堪忍な。高山病ではないと思うけど。疲れかな?” のろのろと自分の布団にたどり着き、横になります。隊長も心配そうです。そこからは目を開けたまま周りの様子を見つつ、寝ないことに注意しながら過ごしました。5時からの晩御飯が始まり、7時まで好きな時間に食べてよい、という決まりだったので、隊長にギリギリに食べていいか、それまで回復に努めます。と伝えました。隊長も了承してくれ、同じく晩御飯を待ってくれました。6時40分くらいまで横になっていたのでしょうか、正直あんまり憶えていません。隊長が横にいたのか、外にいたのかも。頭がボーっとしていたのでしょう。なんとか食べられるような、無理なような気持になり、なんとか食べるわ。と隊長と一緒に宿の人にカレーをよそってもらいました。ご飯は自分で盛るので、ごく少量にしました。それに合わせたカレールーをかけてもらい、なんとか食べました。普段なら二杯でも三杯でも食べるし、実際山小屋ではご飯も味噌汁もおかわり繰り返す自分なのに、なんともはや、残念無念。隊長はいつもどおり。強い人だ。

なんとかカレーを食べ、(福神漬けが妙においしく感じられて、それだけおかわり)着替えるのも、持ってきたウェットタオルで体を拭くのも億劫で、それでも少しは回復したのか、なんとか顔と首すじだけ拭いて、再び横になります。隊長はビール飲まへんの?星が見れるよと誘ってきますが、いや、しんどいからやめとくわ。と返事。星はともかく、ビールを飲まないことには驚いた様子でした。小屋は消灯時間まで結構騒がしく、交感神経が優位だったのか、しんどいもののあまり眠気も来ず、なんとか9時ごろまで横になって深呼吸を続けました。頭痛も薄れてきて、もう大丈夫かなと思う頃に目を閉じて、眠りにつきました。



 

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生け花画像頂戴しました

今週の生け花作品画像頂きました!ありがとうございます。

 お客様から今週お届けした花材での作品画像を頂戴しました。 フェイジョア、秋色ヒマワリ(サンリッチライチ)、青ドラセナ フェイジョアが伸びやかで素敵 中輪八重のトルコ桔梗(しずく)を加えて、ライティングも変えて撮影してくださいました。秋の気配がいい感じですね。 作品画像ありがとう...